仮呼-カコ-の、今の眼からみた世界
カメラとか文章とか音楽とかやってる暇人です。マミヤのカメラを愛してやまない一般人。
唯一無二になりたくて、今日もそらの"あお"に憧れています。
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落する天下
崩れ落ちた天井からは、青白い光が差し込んでいる。
私の横顔を照らし出して、白日の下に晒してしまう。
醜い私の顔は、願い続けた漆のかんばせだった。
幸い周りに人は居らず、照らされた爛れた顔を見た者は居なかった。
煉瓦を丁寧に積んで造られたこの建物は、
嘗て人の命を奪うために存在したが、今はその暗い影しか残らない。
鉄骨がむき出しになってしまった天井は雨風の所為で腐食し、
赤茶色に変色していた。
私は一歩、足を進めてみる。
地面には落ちた天井の破片と思われるものが、無数に散乱していた。
青白い光は私の横顔だけではなく、身体すべてを晒してしまう。
自ら塗った漆によって爛れた、醜い皮膚の姿を。
誰も居ないのが幸いだろう。
もし誰かがこの姿を見てしまったなら、悲鳴を上げて逃げていくに違いない。
けれども、私にとっての全てだったのだ。
自ら望んで成り果てた、終焉の姿だったのだ。
また一歩、足を進める。
この建物の奥へ進む事は、私にとって死を意味しているように思えた。
躊躇うような事は何一つなかったけれど、
この空間の一つ一つを良く見ることは、とても重要だと思われたのだ。
一歩、また一歩、とだんだん足を運ぶスピードは速くなり、
最後は建物の壁の中へ飲み込まれていった。
叶無との会話
「あれがホトケノザ、ドクダミ、スズメノエンドウ…」
「これはなんだったかしら?」
「えっとえっと、白詰草、赤詰草、カラスノエンドウ、
 数珠にナズナ、スギナも…」
「よく出来ました。じゃぁこのお花は?」
「お母さんの好きなオオイヌノフグリ!」
「正解」
「ねぇ、どうしてお母さんはこのお花が好きなの?」
「このお花の色になりたかったからよ」
「あおいろ?」
「そう、"あお"いろに」
「わたしはどんな色になるかなぁ?」
「それは、これからのお楽しみよ。お母さんも楽しみだわ」
「えへへ」
「ほら、あなたにあげる。白詰草の花冠」
「あれ?ひとつだけ赤詰草だよ?」
「それでいいのよ。
 何事にも染まり切らないように、おまじないを込めたの」
「スイミーみたい!」
「そうね…いい?幸せと悲しいことは両方知っておくのよ」
「どうして?幸せだけじゃいけないの?」
「幸せしか知らなかったら、幸せだってわからないの。
 だから、辛くても、両方」
「そっか…」
「大丈夫よ、お母さんが傍に居てあげるから」
「うん!」

叶わない、白日夢の中だけの、会話。
発作の中の夢
其処は、丸いコンクリートで出来たプールだった。
プールには、私は独りだけが取り残されていた。
水は濁っていて、その中での呼吸はとても苦しかった。
濁っている理由を探すと、私の背中に大きな穴が開いており
其処からたゆたうように血が噴出していた。
私は苦しい上痛い事に混乱し、必死にプールの中を泳ぎまわる。
だが、それは結果的により水を濁らせるだけであった。
背中の穴は抉られた様に肉片がちらついており、
まるで誰かから銛で刺されたようであった。
「助けて」
と叫ぶが、誰にも届かない。
此処が私の居場所でない事は心の其処から痛感したが
帰るべき場所はどれだけ考えても思い出すことが出来なかった。
より不安になった私は、払拭するために泳ぎ続ける。
一瞬だけ、水面から光が差し込む。
濁った水の中でも、何かが上に居ることが解った。
大きな影が私の頭上を通り過ぎ、私はそれをずっと眺めている。
不思議と、恐怖は感じなかった。
慌てて追いかけようとしたが、背中からの出血は酷く、
私はそのままプールの底へ沈んでいった。
桐の季節
あの娘の嫁入りは未だかいな?

−あとちぃと、ちぃと待ったってや

あの娘の嫁入りは未だかいな?

−えぇ人は居るんや、未だ時期が来ぇへんのや

あの娘の純真白無垢、うちは其れ見に生まれて来たんや

−知っとる、だからなぁ、もうちぃと待ったってや

嫁入り行く時はうちの死ぬ時、けれど永遠に転生する時や

−あの娘の傍に居ったってや、着物を大切に守ってやってや

其れがうちの運命や、それまでずっと、花咲かせて待つだけや

−一等綺麗な桐箪笥に仕立てたるさかいにな

あの娘は生まれた時から知っとるから、みぃんな性格も知っとるんや

−その為にあんたは此処へ生まれたんやからな

身に纏うものやから、あの娘を守るものや、一生掛けて守ったる

−あの娘の幸せと一緒に、願ったってや
鉱石ラヂオ
鉱石ラヂオの音を聞き
遥かに舞ふてふてふの光跡を辿る
刻刻と報す人の流れを
ノイズ混じりの声が云ふ

アオスジアゲハの片羽を
おまいは薬の瓶へと仕舞ひやる
命の欠片の形だわ、と
おまいは片時も離さなひ

空の姿を探して居た
おまいの小さな手を引ひて
何所で在つても同じだと
おまいは小首を傾げてみせた

心を折って仕舞ふ迄
気附かぬわれをゆるしたもう
おまいはいつでも笑ってゐた
段々歪んで笑ってゐた

鉱石ラヂオの音が効き
おまいの心がなほるなら
ラピスラズリの金の粒
光る結晶を見附けやう
写真だけど絵の中の様な


閉じ込められた彼女は、とても永い眠りの中に居ました。
それは愛する人が彼女を想って願ったことでした。
彼は彼女と違う時間軸で生きていました。
種族が違う二人でも、それは幸せな時間を過ごすことが出来ました。
けれども彼女の肉体は、だんだん綻び始めてしまいます。
壊れきってしまうことに絶えられない彼は、ついに決めてしまいました。
愛する彼女は永遠の刻の中へ。
そして彼は、彼女の傍で、ずっと見守ることを選んだのでした。
他人から見て幸せだとはいえないかもしれません。
けれども二人にとっては、とても、幸せで穏やかな時間で在りました。




彼女の持つ小さな本には、魔法の言葉が書いてありました。
その言葉を唱えると、物語の生き物が現実の世界へ出てきてしまうのです。
彼女は小さい頃、おかあさんに読んでもらったペガサスのお話が大好きでした。
大地は荒れ果て、暗黒に包まれた世界を、光に満ちたペガサスが救うお話です。
今、彼女はとても窮地に立たされていました。
愛する人は捕らえられ、そして自分の明日の命の保障さえも無いような毎日でした。
「あのペガサスならば、叶えてくれるかもしれない…!」
どうしてもペガサスに会いたい彼女は、ついにその魔法の言葉を呟いてしまいました。
魔法には必ず、代償が必要であることも知らずに…
超、急なのですが告知です!
明日まで大阪・中崎町で開催されている水彩画家「井ノ上豪」さんの
井ノ上さんのアリスのイラスト展「Various Alice」に
明日一日中(12時から18時まで)お邪魔してきますー。
井ノ上さんが描かれた絵を元に作った服を着て、参戦してきます。笑
ちなみにこんな服とかです。



井ノ上さんがデザインを、製作は私が行っている、
「sortirlein・ソルティライン」造語・『乙女のお出かけ』
というユニットです。(ユニットで表現合ってるのかな?)
フランス語の「お出かけ」の「sortir」とドイツ語のお嬢様の「Fräulein」をあわせた造語です。

みなさん是非素敵で色々なアリスを見に来てください!
水彩画で書かれた絵で癒されますよ☆
場所はnearly equal gallery
個展詳細はこちらへ
服装は井ノ上さんデザインのこんなのと、あともう一着!

ちなみに個展は明日が最終日です!
18時までとなりますのでご注意ください!
アリス風の似顔絵を描いてもらえたり、
ひょっとしたらアリスが居るかもしれませんよ?笑


それでは皆様、お会いできますように!
翻る袂を分かちて
長い乙女の袂を揺らすのは
仄かに甘い香りの春の風

その筒の中身はなぁに?
  あなたが選らばなかった未来よ
あなたたちが歩いている場所はどこ?
  あなたが辿り着けなかった未来よ

翻る袂を分かちて幾つの季節が過ぎただろう
何処で、如何すれば、あの未来が選べたのだろう

現在の私に後悔は無い
選べなかった、選ばなかった未来に未練も無い
只、乙女の振袖見るたびに
あんなふうになってみたかったのか、と自問自答するのだ

黒い筒を持っていたであろう私も
あの中に混ざることが出来たのだろうか

この時期だけは押し付けられる
選ばなかった結末の姿を

 (辛くはないわ…今は幸せだもの…)

 (知ってるわ…もう遅いことも…)

 (少しだけ、羨ましかっただけよ…)

 (あの誇らしげな、乙女の笑顔が…)
スロースターター
季節を告げる風が 次の季節を呼ぶ
さわやかなざわめきが 草原を撫でた

緑から色を分けていく
ただ一つの花だけを残して 

ひとつ ひとつ 枯れて行く
そのなかの スロースターター
過ぎた時を忘れない 語り手を担って
次の季節へ 変わるまで
記憶を繋いで

季節は変わって行き 世界も色を変える
何一つ留まらずに 何事もめぐっていく

ひとつ ひとつ 去っていく
そのなかの スロースターター
ただ一人 残っていく強さを
誰かが 瞳を向けるまで
時間を繋いで


記憶のどこかで眠らせた
ページを今開いていく
昔々に閉じてしまった
封を開けていく

ひとつ ひとつ 居なくなる
そのなかの スロースターター
眼を向けられるのを待つ 季節の端よ
まためぐりあう その時まで
世界を繋いで
それは、空を埋め尽くすモノクロの歯車に埋め尽くされた世界だった。
大きな歯車はゆっくりと、小さな歯車は助けを借りながら。
少しずつ形を変化させていく歯車も存在して、全てが関わりあって回っていた。
見上げていると、ある一つの歯車に亀裂が走って、粉雪のように欠けてしまい降ってくる。
欠けてしまった歯車の場所は、周りの歯車が自然と寄り集まって、
元々居なかったかのように埋められていった。
そうして、世界は成り立っているのだ。
それが、この世の「理」なのだと、私は思った。
私の足元を見た。其処には小さな歯車が落ちていた。
それは、私の歯車だった。
歯はたくさんあるのに、明らかに軽く、脆い素材で出来ていた。
おそらく廻せば壊れてしまうだろう。
だからなのか、私の歯車は、欠けてなど居ないのに、この世の「理」から欠落していた。
それは己独りなのだと痛感させ、果てしない絶望に襲われた。
私は自分の歯車を抱いたまま、モノクロの世界の仕組みを見上げ続ける。
やがて独りに耐え切れなくなった私は、大きな叫び声を上げて、
そしてようやく、目が覚めた。
ずっと呼吸が戻らなかったのだと、看護士から聞いた。
私が見ていた「理」は、ほんの断片でしかないけれども
人の生き死にが関わる時のみ開く、通路のようなものなのだろうか。
私の歯車は、今も手に持っている。
大切に、身につけておかなければ、欠けて、雪のように消えてしまうだろう。
沢山見てきた「理」の通路は、まだ、存在するのだろうか。