落する天下
2012.05.10 Thursday
崩れ落ちた天井からは、青白い光が差し込んでいる。
私の横顔を照らし出して、白日の下に晒してしまう。
醜い私の顔は、願い続けた漆のかんばせだった。
幸い周りに人は居らず、照らされた爛れた顔を見た者は居なかった。
煉瓦を丁寧に積んで造られたこの建物は、
嘗て人の命を奪うために存在したが、今はその暗い影しか残らない。
鉄骨がむき出しになってしまった天井は雨風の所為で腐食し、
赤茶色に変色していた。
私は一歩、足を進めてみる。
地面には落ちた天井の破片と思われるものが、無数に散乱していた。
青白い光は私の横顔だけではなく、身体すべてを晒してしまう。
自ら塗った漆によって爛れた、醜い皮膚の姿を。
誰も居ないのが幸いだろう。
もし誰かがこの姿を見てしまったなら、悲鳴を上げて逃げていくに違いない。
けれども、私にとっての全てだったのだ。
自ら望んで成り果てた、終焉の姿だったのだ。
また一歩、足を進める。
この建物の奥へ進む事は、私にとって死を意味しているように思えた。
躊躇うような事は何一つなかったけれど、
この空間の一つ一つを良く見ることは、とても重要だと思われたのだ。
一歩、また一歩、とだんだん足を運ぶスピードは速くなり、
最後は建物の壁の中へ飲み込まれていった。
私の横顔を照らし出して、白日の下に晒してしまう。
醜い私の顔は、願い続けた漆のかんばせだった。
幸い周りに人は居らず、照らされた爛れた顔を見た者は居なかった。
煉瓦を丁寧に積んで造られたこの建物は、
嘗て人の命を奪うために存在したが、今はその暗い影しか残らない。
鉄骨がむき出しになってしまった天井は雨風の所為で腐食し、
赤茶色に変色していた。
私は一歩、足を進めてみる。
地面には落ちた天井の破片と思われるものが、無数に散乱していた。
青白い光は私の横顔だけではなく、身体すべてを晒してしまう。
自ら塗った漆によって爛れた、醜い皮膚の姿を。
誰も居ないのが幸いだろう。
もし誰かがこの姿を見てしまったなら、悲鳴を上げて逃げていくに違いない。
けれども、私にとっての全てだったのだ。
自ら望んで成り果てた、終焉の姿だったのだ。
また一歩、足を進める。
この建物の奥へ進む事は、私にとって死を意味しているように思えた。
躊躇うような事は何一つなかったけれど、
この空間の一つ一つを良く見ることは、とても重要だと思われたのだ。
一歩、また一歩、とだんだん足を運ぶスピードは速くなり、
最後は建物の壁の中へ飲み込まれていった。





